伴走者は凄かった

長年、走り続けていると本当に色んなことがある。ましてや伴走者と走る視覚障害者マラソンは、人と人がすることなので感動も喜びも二倍なら誤解やトラブルもある。今回は、レースでのちょいとしたエピソードを書いてみることにする。
もう20年前のことだ。かすみがうらマラソン当日、僕は10マイルに出場するため伴走者と現地(大会会場)で待ち合わせした。ところが約束の時間を過ぎても来る気配がない。僕は気をもんでスタート前の身支度を澄ませたが一行に現れない。その頃の僕は、弱視だったので仕方無く一人で走ることにした。
もう時間がない。僕は、大会ボランティアの人に誘導されスタート地点へ向かった。目前で号俸が聞こえて、ランナーの整列が動き出した。「最後尾からでもいいや」と、僕は目の前を流れていくランナーの波を見ていた。
その時だった!「ごめん、ごめん。電車に乗り遅れて云々」、伴走者の男性が駆け寄ってきた。そんな様子を横で見ていた大会ボランティァの男性が伴走者に向かってこう言い放った。
「荷物は預かるからアンタ、今すぐ走りなさい」。男性は、落ちていた紙袋の手提げ紐をつなぎ合わせて伴走ロープを作って、僕らに手渡してくれた。
僕らは、そのロープを手に手にコースに入った。伴走者は着替えなど住ませていないので私服にカジュアルシューズといった身支度である。伴走者と走りながら一連の話をした。遅れたことをとやかくいっても仕方ない、僕らはすぐに気持ちを切り替えて最後まで頑張ることにした。
沿道からトレーナーとGパン姿の伴走者に声援が飛ぶ。「何だその仮装は。頑張れよ」。伴走者は、そんな沿道の声援に「遅刻です」と返して、周囲の笑いを誘う場面が度々あった。
ランパンランシャツの僕と私服の伴走者。伴走者はいつもより走りにくそうにしていたがとくに問題はなく10マイルを71分で完走した。当時の僕はそれなりの快速で、伴走者はさらに快速の方だった。
ゴール後、汗でびしょぬれになった私服から現地のブースで購入したウエアに着替えていた伴走者の姿とはにかんだ笑顔を未だに忘れることができない。いい思い出である。
スポンサーサイト
プロフィール

ちゃれんじぃ

Author:ちゃれんじぃ
毎日が色んなことへの挑戦だ!白杖への誤解や理解、日々のささいな出来事や感じていることを視覚障害者の視点からつぶやいています。アラヒフ世代・津軽三味線初心者・ジョギング・野球観賞・70年代フォーク&ロック・古きよき昭和をこよなく愛する全盲の伯父さんです。。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR