迷子

夏休み、この時期になると思い出すことがある。子供達が小坊の頃に家族で行った海水浴場でのことだ。女房にもまだ若干の視力があって、おいちゃんにも私生活にはさほど不自由しないくらいの視力のあった頃の話だ。でっかい太陽と白い砂浜、真っ青な海、波打ち際でボール遊びをする娘と女房、息子は水中眼鏡をして海に潜ったりしてた。おいちゃんはと言えば、そんな様子を使い捨てカメラに収めてた。当時流行っていた、写るんデスとかいうカメラだ。「パパ、お腹空いたよ~」、真っ黒に日焼けした幼顔の娘が言った。そうかそうか、可愛い娘のおねだりに、女房にその場を任せて、一つ返事、一人で売店に買い出に行った。焼きそばとかソフトクリームを両手に抱えて元の場所に戻ろうとした時に事態は起きた。広い砂浜一杯の人混みで元居た場所が見つけられずに迷ってしまったのである。目印になるものったって辺りは同じようなパラソルがいくつも開いているし、同じ年格好の家族連ればかりで、みんな同じような水着着てるし、すっかり迷子になってしまった。波打ち際と人混みを
右往左往していると、怪しいと思ったのかライフセイバーの兄ちゃんに「どうされました?」って声を掛けられた。
 兄ちゃんに事情を話すとそれならばと一緒に待っている家族を探してくれることになった。しかし中々見つからない、他のセイバーも加わっての大捜索となった、大きな迷子である。そして、ソフトクリームはすっかり溶けてしまった。
セイバーの提案で迷子の呼び出しアナウンスをすることになった。とはいっても全盲に近い女房が子供達を連れて案内所まで来られるだろうか?そんな不安もあったけどお願いすることにした。○○さんのご家族の方、お父さんが案内所でお待ちです、どこどこ横の案内所までお越しくださいみたいな、放送だったように思う。待つこと十数分、来ましたよ、兄妹で母親の手を引いて迷子の父ちゃんを迎えに。こうして無事に家族と再会できたわけだが娘の手には何故かしっかりとソフトクリームが握られていて、口元がクリームでベチャベチャになってたことをこの目に覚えてる。
長男、小学四年、長女、保育園の年長さんの夏休みの出来事である。
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ちゃれんじぃ

Author:ちゃれんじぃ
毎日が色んなことへの挑戦だ!白杖への誤解や理解、日々のささいな出来事や感じていることを視覚障害者の視点からつぶやいています。アラヒフ世代・津軽三味線初心者・ジョギング・野球観賞・70年代フォーク&ロック・古きよき昭和をこよなく愛する全盲の伯父さんです。。

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