NAHAマラソンでの失敗。それまでの自分とのさよなら

視力が少しでもあるうちは、白杖を持つことが気恥ずかしいものだ。周囲の目を意識してしまったり、まだそんな自分を認めたくなかったりする。それはまた、ランニングでも同じで、視力があるうちは、健常者と同じように、一人で可能な限り走りたいものなんです。でもそれは、とても危険なことで、今回は、そんな僕の失敗を書いてみることにする。
話はかれこれ二十年前のエピソードだ。その頃の僕は、片目0.04の視力で、全国のランニング大会に単独走で出まくっていた。練習会では、全盲の伴走もした。文字通り、ランナー人生で一番輝いていた頃だ。
それは、2000年のNAHAマラソンを走った時のことだった。憧れの大会「ランニングの祭典 NAHAマラソン」には、三万人近いランナーが参加する。スタート直後は、朝のラッシュアワーのちょー人混みの中を賭けているようだ。途切れなく続く沿道からの声援に気分が高まる。
しかし、僕は、気分とは違い周囲のランナーとぶつからないように、転倒しないように、それだけで必至だった。こわばる体で神経をとぎすませ走る。暑さと疲労で頭がクラクラしだした。そうなると注意力も散漫になる。
糸満市の32Km地点の交差点に差し掛かったときのことだった。僕は、突然視界に飛び込んできた、ランナーを避けきれずに接触、転倒した。そのランナーはそのまま走っていってしまったが、僕は、立ち上がることができない。
体を打ち付けたことと、脱水症で、全身痙攣で身動きができなかった。周囲の人達に抱え上げられ路肩に寝かされた僕。近づいてくる救急車の音が聞こえると自然と涙があふれてきた。悔し涙というより、もう僕が独りで走ることは無理なんだな、そんな終止符にも似た思いだった。救急車に搬送されるときに、集まっていた、群衆の人に、「ここまでよく走ったさー」、「来年も頑張ろうね」、「よっ!挑戦者、格好いい」、そんな温かい声を掛けられ、僕は号泣してしまった。
そのとき感じたことは、相手のランナーを怪我させなくてよかったということと、沖縄の人達の温かさだ。そして、このことがあってから僕は、一人で走ることをやめた。それ以降は、伴走者と走る喜びや感動を二人して楽しんでいる。
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プロフィール

ちゃれんじぃ

Author:ちゃれんじぃ
毎日が色んなことへの挑戦だ!白杖への誤解や理解、日々のささいな出来事や感じていることを視覚障害者の視点からつぶやいています。アラヒフ世代・津軽三味線初心者・ジョギング・野球観賞・70年代フォーク&ロック・古きよき昭和をこよなく愛する全盲の伯父さんです。。

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