真冬の自動販売機

半盲だった頃はよくドジをやらかした。
その晩は忘年会帰りの極寒の駅ホームで僕は遅れている電車を待っていた。
人身事故があったとかで待てども電車がなかなか来ない。
歯はガチガチ鳴って体はブルブル震えてる。真冬の駅は寒いのなんの、たまったもんじゃない。
もう一度駅を出て飲み直そうかとも思ったけど、生憎さいふにその金がない。
ポケットをさぐると温かい缶コーヒーが買えるくらいの小銭があった。
温かい缶コーヒーを買って少しでも暖まろうと思い、僕はなけなしの小銭を近くにあった自販機に投入した。
それから、温かい飲み物のボタンはどれかな?そう顔を近づけていくとかぶっていた帽子のツバがコツッと何かに当たった。
そしてその瞬間!ゴトンと鈍い音がした。
僕は恐る恐る取り出し口に手を入れてみた。
かじかむ指先に触れたそれはよく冷えた缶ジュースだった。
僕はそれをかじかむ手でコートのポケットにつっこんだ。
午前様に帰宅したときにはすっかり酔いは覚めていたけど、ポケットの缶コーヒーは、電車の暖房と僕の体温でほのかにぬくもってたことは言うまでもない。
お酒はぬるめの燗がいい~ 魚はあぶったイカでいい♪八代亜紀のそんな歌がラジオの深夜便から流れていた頃の古い話である。
見えそうで見えていないのが半盲(弱視)である。
皆様も真冬の自販機のボタンにはご注意を
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プロフィール

ちゃれんじぃ

Author:ちゃれんじぃ
毎日が色んなことへの挑戦だ!白杖への誤解や理解、日々のささいな出来事や感じていることを視覚障害者の視点からつぶやいています。アラヒフ世代・津軽三味線初心者・ジョギング・野球観賞・70年代フォーク&ロック・古きよき昭和をこよなく愛する全盲の伯父さんです。。

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