fc2ブログ

行商の叔父さん

年寄りが集まるとさ、昔話に花が咲くんだよな。
僕もご多分に漏れずそんなうちの一人だ。
ましてやコロナ渦で仲間と会えないからさ、こうして一人語りをしている。
今回は色んな物を売りに来た行商人の思い出話を聞いて欲しい。
昔はな、一番鶏が鳴くとすぐに通りの方から「なっとーなっとー」と納豆売りのおっちゃんの声が聞こえたもんだよ。
次にやってくるのがラッパをプープーと吹きならした豆腐屋でな、母が鍋を抱えてな買いに出たもんだよ。
昼になるとそりゃ色んな行商人がきたものさ。
物を売るだけじゃなくて差、何かを修理してくれる人もおったんだよ。
昔の鍋や釜は底に穴が空きやすくてなーーその穴を塞いでくれる仕事をいかけ屋といって重宝したものさ。

壊れた傘を修理してくれる人もいたな。折れた骨を直してくれるのさ。
それとか、下駄や草履の花尾が切れたのを直す人もいたな。
煙草を吸うときにつかうキセルを掃除してくれる人をラオ屋といってな、パイプの詰まりを直してくれたものさ。
みんなが知るところだと富山の薬売りの叔父さんもいたな。
ほら置き薬の行商でさ、薬を買うとさ、子どもに紙風船をくれたものだよ。
「シジミ、アサリ!」の掛け声のシジミ売りの人も、「金魚、金魚」の行商のおっちゃんもおってのー そうした行商は天秤棒を担いで売りにきたものだよ。
そうだな?昔の八百屋や魚屋はリヤカーで引き売りをしたんだ。
だからさ、買い物に行けない町の年寄りはそりゃ助かったものさ。
それと酒屋も米屋だって御用聞きといってな、得意先の家に注文を聞きに来ては配達してくれたんだ。
町の食堂だって、蕎麦屋だってみんな出前をしてくれたからさ、お客が来たときなんかはそりゃ重宝したものさ。
昔の商人は店で客を待つだけでなくての こんな風に行商をして歩いたものさ。
外出が制限された今やこれからの高齢者社会にはこうした行商に来てくれる商人がいると助かるのー。
生活に不便を感じる今日この頃、古き良き昭和を懐かしんでみた。
昔の子供たちが青っぱなをたらしていた頃の古い話である。
スポンサーサイト



プロフィール

ちゃれんじぃ

Author:ちゃれんじぃ
毎日が色んなことへの挑戦だ!白杖への誤解や理解、日々のささいな出来事や感じていることを視覚障害者の視点からつぶやいています。アラヒフ世代・津軽三味線初心者・ジョギング・野球観賞・70年代フォーク&ロック・古きよき昭和をこよなく愛する全盲の伯父さんです。。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR