婚姻届

目の不自由なもんにとって役所や銀行などで提示される書類の記入は難儀である。第三者に代筆してもらうにも代筆者の身分を証明するものをそこの職員に提示した上で、職員立ち会いのもと、記入の作業をするのだ。そんな面倒なことも悪質な詐欺が横行している昨今しかたないことだとはわかってはいるが、目の見えんもんに向かって「ここに記入してください」、そうした応対は、何度直面しても切ないものだ。
代筆と言えば女房と一緒になるときに婚姻届を町役場に提出に行った時のことだ。少し視力のあった僕はルーペを使って自分の名前を記入したが、役所の人間は全盲の女房にも自筆で記入しろと言う。僕が代筆を求めると何が何でも女房の自筆でなければ駄目だと、担当者は突っぱねる。
そこでどうしたかというと、ペンを持った女房のその手に、僕が自分の手を添えて、そのペンを動かした。文字は記入欄からはみ出してしまったが無事に女房の名前を記入することができた。
沢山の人に観られていたが、僕は女房にぴったりと張り付いて、それこそ頬と頬がつくくらいに寄り添って、僕たち夫婦は婚姻届提出の手続きをすませた。
まだ、結婚式前のことなので、こんなことが僕たち夫婦の初めての共同作業となった。
今の時代であればもっとスムーズなやりかたがあるのだろうけど、役所もお堅く融通もきかない、そんな時代の話である。
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ちゃれんじぃ

Author:ちゃれんじぃ
毎日が色んなことへの挑戦だ!白杖への誤解や理解、日々のささいな出来事や感じていることを視覚障害者の視点からつぶやいています。アラヒフ世代・津軽三味線初心者・ジョギング・野球観賞・70年代フォーク&ロック・古きよき昭和をこよなく愛する全盲の伯父さんです。。

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