チキンな白杖使いと朝の出来事

朝の川越駅で白杖のトラブルから全盲少女が蹴られる事件を耳にして、うちの家族はみな悲痛な思いでいる。全盲の女房は、さぞ怖かっただろうにと少女の心の傷を心配し、視野狭窄で弱視の長男は、世も末だ、そう言って口をつぐんでしまい、長女は、人ごとじゃないよとおびえていた。
そして、僕はと言えば事件があった翌日は、白杖を突いて外に出る気持ちになれずに、その日は家に閉じこもってしまった。
チキンな僕である。「全盲は電車に乗るな」、「白杖を振って歩くな」、Twitterで耳にした被害者の少女を中傷するそんな心ないツイートが、白杖歴数十年になる、こんな僕にも重く突き刺さっていた。
この朝は気持ちを切り替えて仕事に出た。歩き慣れた道、最寄りの駅ですれ違う人から僕も「めんどくさい奴」、そう見られているのかなと思うと体が震えて嫌な脂汗が流れた。
駅舎に入ると修学旅行に出発する学生達でごった返してた。僕は、いつもならどうってことないそんな人混みに、ちょっと緊張しつつ、白杖の振りをチョンチョンと小さくして点字ブロックから外れないように進んだ。
「ごめんね、ちょっと道を開けてくれるかな」、僕はそう何度も声を掛けて人混みに困惑していると、引率の男性教師らしき人が大きな声を上げる。「白い杖の人が通るから、ほら、みんな端によけなさい」、よほど怖がられている教師なのだろうか、その一言で一気に道が開けて点字ブロックが顔を出した。

「有り難う」、僕は学生達にそう何度も頭を下げながら改札に向かった。そんな僕に、左右によけてくれた学生達から、「お早うございます」、「気をつけてください」、「こんにちは」と次々に、あちらこちらから数え切れない元気な声。
照れくさかったけど、素直にうれしくて泣きそうになって、そんな学生達の振る舞いに世の中まだまだ捨てたもんじゃないなと思った。そしてそれまでの心のもやもやが取れて僕の重い気持ちも晴れていった。
あの学生達が一人になった時、大人になった説き、町で体の不自由な人を見かけたら優しく見守れて、何かあった時に手をさしのべられる人でいてほしい、僕はそう神様に願った。
被害にあった全盲の少女には、「強く生きて行こうね」、そう声を掛けてあげたい。点字本に点字板を入れた鞄ってけっこう重いんだよね、毎日の通学は大変だろうけど先輩達もみんな、そうして強くなった、頑張れ少女。
さぁ、次回は明るく「視覚障害者あるある」を書いてみましょうかぁ。
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プロフィール

ちゃれんじぃ

Author:ちゃれんじぃ
毎日が色んなことへの挑戦だ!白杖への誤解や理解、日々のささいな出来事や感じていることを視覚障害者の視点からつぶやいています。アラヒフ世代・津軽三味線初心者・ジョギング・野球観賞・70年代フォーク&ロック・古きよき昭和をこよなく愛する全盲の伯父さんです。。

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