白杖も折れる街角

その晩、僕は悔しくて眠ることができなかった。雨の朝だった。右手で白杖を突いて左手で傘を差して職場へ向かっている途中にこんなことがあった。雨の日の白杖使いは杖と傘で両手がふさがるのでけっこう大変なものだ。
路地を歩いている時だった。白杖を突くその手に何か軽い負荷を感じた瞬間、ボキッと音を立てて白杖が折れてしまった。目の前を抜けて雨で濡れた路面を走り去る自転車の気配が虚しく残された。
僕は折れた白杖の場所を確認しながら、「どなたか見ていた人はいませんか」、そう声を上げてみたが反応はない。何せ人工一万人足らずの田舎町の朝だ、ひとつ路地に入ってしまえば人の往来などほとんどない、そんな場所だ。
さぁ困った。白杖を上に向けて回すギャグでもやってみたところで何のリアクションもないだろうし、さぁ困った。折れた箸を想像してみてくれ、そんな箸で物は挟めない、折れた白杖もそれと同じで役をなさないのである。
仕方がないのでつぼめた傘を白杖代わりに歩いた。着ていた洋服はあっという間にびしょ濡れになった。そのまま職場に行っても着替えはないし、濡れた洋服では仕事にならないので、つぼめた傘を頼りに自宅に引き返して、その日は仕事を休んだ
こういうことって後になって悔しさがこみ上げてくる・・・
白杖を販売している専門機関の用具部に持ち込まれる白杖の修理の原因の大半は自転車に杖を折られたり歩行者に踏まれて折れるケースが耐えないそうだ。
僕は、この一件があってからはスペアの折りたたみ杖を鞄に入れて持ち歩いている。
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プロフィール

ちゃれんじぃ

Author:ちゃれんじぃ
毎日が色んなことへの挑戦だ!白杖への誤解や理解、日々のささいな出来事や感じていることを視覚障害者の視点からつぶやいています。アラヒフ世代・津軽三味線初心者・ジョギング・野球観賞・70年代フォーク&ロック・古きよき昭和をこよなく愛する全盲の伯父さんです。。

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