鶴の恩返しと大掃除

仕事柄土曜日はいつも仕事。めったに休むことのできない土曜日がこの日、休みになった。
もう久しく顔を出していないバンバンクラブの練習会にでも行ってみようかと、身支度に取りかかった。
すると背後から、「お父さん、換気扇と水回りのお掃除を頼んだわね」と鶴の鳴き声がした。
ここだけの話だけど僕の家には鶴がいるんです。ちょっと太ってはいますが働き者の鶴なんです。
時には優しく、時には凄く怖い鶴に、僕は逆らうことはできないんです。
そんなわけで、鶴の一声で、僕は我が家の大掃除をおおせつかってしまった。
僕は、文字通りの手探りで、換気扇と洗面台の掃除を済ませた。
休憩の合間、鶴は何をやっているのか気になったので、僕は恐る恐る二階へ上がる階段を足音を偲ばせて上ってみた。
「何さぼっているの!」鶴に見つかったら大変です。僕は、中からパタパタと物音がする部屋が気になって仕方なくなった。
僕は、その部屋の襖を鶴に気づかれないようにしずしずと開けてみた。
襖の間から中の様子を伺ってみると鶴はカーテンを外したりバタバタト羽を動かしていた。
僕はいつもよく働く鶴に申し訳なくなったので、襖を閉じるのも忘れて階段をそそくさと降りて真面目に風呂掃除をした。
一通りの掃除を済ませると僕はへとへとである。僕は、鶴に隠れて日当たりのいい縁側に体を横にした。
心地よさにうとうとしているとリビングから「おとうさーん」と、僕を呼ぶ鶴の鳴き声がした。
僕はちがう掃除をいいつけられるのかなと恐る恐るリビングの扉を開けた。
すると何やらいい匂いがして、「座って」と鶴に促されぼくは席に着いた。
「お疲れさま」と、鶴に温かな飲み物の入ったコップを手渡された。それを一口飲んでみると、それは僕の大好きなお酒だった。
テーブルの上には、けんちん汁やらお刺身やら赤飯など、ご馳走が並んでいた。
酔うほどにいい年の瀬である。
鶴に逃げられないように明日からまた頑張ろうと拳を固める僕だった。次回へ続く。
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ちゃれんじぃ

Author:ちゃれんじぃ
毎日が色んなことへの挑戦だ!白杖への誤解や理解、日々のささいな出来事や感じていることを視覚障害者の視点からつぶやいています。アラヒフ世代・津軽三味線初心者・ジョギング・野球観賞・70年代フォーク&ロック・古きよき昭和をこよなく愛する全盲の伯父さんです。。

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