私、失敗しないので

ちょいと前の出来事。マラソン遠征に出掛ける朝、窓の外は土砂降り。雨合羽を羽織った上に大き目なリックを背負う。雨の日は白杖と傘で両手がふさがってしまうので僕はいつも雨合羽を着用するんです。そんな身支度で玄関を出た。
この日は荷物になるのでいつも使っている折りたためない白杖でなくて、四つに折りたたむことができる白杖にこの身を委ねることにした。ところが久しぶりに使う白杖は使い勝手が微妙に違う。もう何千回も歩いているはずの最寄り駅まで徒歩15分の道で迷ってしまった。
田舎の早朝はひっそりとしていて目印になる音もなく当然点字ブロックはないので、曲がり角までの感覚と道端の縁石やらマンホールのふたなどを目印に進む訳なんだけど、どこでどう迷ったのか駐車場らしき広場に迷い込んでしまった。
こうした時には焦るとパニックになるので冷静でいることに心を落ち着かせることだ。とはいっても電車に乗り遅れるわけにはいかない。
「私、失敗しないので」。そんな自信で心を落ち着かせて、体をくるっと回転させて元きた方角に向き直ってそろりそろりと白杖を向けてみた。
一歩一歩また一歩。広場のフェンスまでたどり着いた。よし!ここからだ。駅の方角はどっちだ?
人に尋ねようにも田舎の雨の日の早朝は人っこ一人通らない。白杖を頭上に上げるSOSサインなんざこの町では無意味である。
かすかに聞こえる電車の発車ベルの音。よし!駅の方角はあっちだ。フェンスを障って確かめる。どこかで触ったことがあるぞ!あの場所だ。路面を白杖の先と足裏で確認して、現在地を確信することができた。
軌道修正はできたけど時間がない。閉鎖したスーパーマーケットの駐車場脇の歩道を足早に急ぐ。道路標識の支柱に何度も白杖が引っかかってカーン!カーン!と音が響く。
歩道に道路標識ってどゆこと?いらつく気持ちを抑えて駅反対側のロータリーまでたどり着く。ここにも点字ブロックはない。白杖と感だけが頼りである。やっとこさ、跨線橋の階段に到達。ここまでくれば大丈夫と胸をなで下ろす。
少し余裕をみて家を出たからよかったぁ。どうにかこうにか電車にも間に合ってよかったぁ。乗り込んだ電車で雨合羽を畳みながらつぶやいた「私、失敗しないので」、なんちゃって。
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ちゃれんじぃ

Author:ちゃれんじぃ
毎日が色んなことへの挑戦だ!白杖への誤解や理解、日々のささいな出来事や感じていることを視覚障害者の視点からつぶやいています。アラヒフ世代・津軽三味線初心者・ジョギング・野球観賞・70年代フォーク&ロック・古きよき昭和をこよなく愛する全盲の伯父さんです。。

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