お化け屋敷

子供たちが小さい頃は休日ともなると電車に乗って家族でよく出かけた。

その日はドーム球場の隣り合わせた遊園地に行った。
長男が全盲の女房の手を引いて、当時は半盲だった僕が娘と手をつないで人混みの園内を歩いた。
不自由はそれなりにあったけどそんなことはみじんも感じないくらいに家族ははしゃいだ。
お化け屋敷に入ることになって真っ暗な迷路を子供らに手を引かれておっかなびっくり歩いた。
うわ、ろくろっくびだ!などと子供らは怖がっていたが夫婦の目にはお化けや仕掛けが見えないので怖くない。ただの狭い迷路である。
娘が怖がってだっこをせがんだので僕が娘をだっこして脚探りで順路を進んだ。
お化けの人形にぶつかり仕掛けにつまずきそうになったり父は必死である。
そうこうしていると女房の手を引く長男とはぐれてしまった。
出口がわからなくなって僕があたふたしていると「出口はこちらですよ」とバイト君が案内してくれた。
娘はぎゃん泣きである。薄明かりの中でその人をがんけんして見たら長い髪をしたお化けメイクをしていた。
ぎゃん泣きする娘に、怖がらせちゃってごめんね、お化けさんは本当はいい人なんだぞぉとバイト君が言った。

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真冬の自動販売機

半盲だった頃はよくドジをやらかした。
その晩は忘年会帰りの極寒の駅ホームで僕は遅れている電車を待っていた。
人身事故があったとかで待てども電車がなかなか来ない。
歯はガチガチ鳴って体はブルブル震えてる。真冬の駅は寒いのなんの、たまったもんじゃない。
もう一度駅を出て飲み直そうかとも思ったけど、生憎さいふにその金がない。
ポケットをさぐると温かい缶コーヒーが買えるくらいの小銭があった。
温かい缶コーヒーを買って少しでも暖まろうと思い、僕はなけなしの小銭を近くにあった自販機に投入した。
それから、温かい飲み物のボタンはどれかな?そう顔を近づけていくとかぶっていた帽子のツバがコツッと何かに当たった。
そしてその瞬間!ゴトンと鈍い音がした。
僕は恐る恐る取り出し口に手を入れてみた。
かじかむ指先に触れたそれはよく冷えた缶ジュースだった。
僕はそれをかじかむ手でコートのポケットにつっこんだ。
午前様に帰宅したときにはすっかり酔いは覚めていたけど、ポケットの缶コーヒーは、電車の暖房と僕の体温でほのかにぬくもってたことは言うまでもない。
お酒はぬるめの燗がいい~ 魚はあぶったイカでいい♪八代亜紀のそんな歌がラジオの深夜便から流れていた頃の古い話である。
見えそうで見えていないのが半盲(弱視)である。
皆様も真冬の自販機のボタンにはご注意を

白い杖と黄色い杖の意味を知ってください

豪雪地に暮らす視覚障害者の知人から黄色い杖を見せてもらった。性格には触らせてもらったのだけれど。
実はあまり知られていないけれど、雪国では白杖は目立ちにくいので黄色い杖を使う人もいるのだそうです。(全員が使用しているわけではないです)
このことは僕も初めて聞いて驚きました。
今回は、そんなことから白杖の法律を復習してみたいと思う。
以下は某サイトからの引用です。
【道路交通法第14条第1項】(目が見えない者等の保護) 目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む。以下同じ。)は、道路を通行するときは、政令で定めるつえを携え・・・・なければならない。
【道路交通法第14条第2項】( 〃 ) 目が見えない者以外の者(耳が聞こえない者及び政令で定める程度の身体の障害のある者を除く。)は、政令で定めるつえを携え、又は政令で定める用具を付けた犬を連れて道路を通行してはならない。
【道路交通法施行令第8条第1項】(目が見えない者、幼児等の保護) 法第14条第1項及び第2項の政令で定めるつえは、白色又は黄色のつえとする。
【道路交通法施行令第8条第4項】( 〃 ) 法第14条第2項の政令で定める程度の身体の障害は、道路の通行に著しい支障がある程度の肢体不自由、視覚障害、聴覚障害及び平衡機能障害とする。
【道路交通法施行令第8条第5項】( 〃 ) 法第14条第2項に規定する用具は、・・・・色彩がこれに類似する用具とする。
【道路交通法第71条第2項】(運転者の遵守事項) ・・・・目が見えない者が第14条第1項の規定に基づく政令で定めるつえを携え、・・・・耳が聞こえない若しくは同条第2項の規定に基づく政令で定める程度の身体に障害のある者が同項の規定に基づく政令で定めるつえを携えて・・・・通行しているときは、一時停止し、又は徐行して、その通行又は歩行を妨げないようにする。

これを要約しますと、 眼が見えない者とこれに準ずる者(視覚障害者のみです)は、道路を通行する時、政令で定める杖を携えなければならない。
「1」と耳の聞こえない者と政令に定める程度の身体障害者以外は、政令で定める杖を携えて通行してはならない。
政令で定める杖は、「白色又は黄色のつえ」である。
運転者は政令で定める杖を携えて通行している時は、「一時停止又は徐行してその通行を妨げてはならない」 となっているのです。
杖を持って良い人、いけない人、その色は何色、運転者はどうする、と言うことです。
 これでお分かりのように、視覚障害者として手帳を持っている者が白杖を持つと言うことは、道路交通法上で保護されているのです。
身の安全のために、恥ずかしがらないで白杖を持って歩きましょう。

 道路交通法も同施行令も昭和35年に制定されましたが、その時は、「白色」だけしか有りませんでした。
それが昭和46年に改訂された時に「黄色」が追加されたという経緯があるのです。
六法全書だけでは、改訂日は記載してありますが、「何処がどう変わったか?」までは分かりませんので、道路交通法の所管官庁である警察庁交通企画課警視と、「黄色い杖」の出所の厚生省大臣官房障害保健福祉部に問い合わせて正確を期しています。
 それでは、制定後20年近くも経って何故「黄色」を追加したのか? それはなかなか興味深いと思います。
 それは幾つかの事情があったのです。

厚生省で、盲人は道路交通法上、白色の杖で守られているのに、同じように歩行困難な他の身体障害者が守られないのはおかしい、と言って、昭和43年6月に時の園田厚生大臣のお声掛かりで検討が始まり、翌月それらの方々に「黄又は白」のラッカーを塗った「安全補助ステッキ」なる物を支給出来るようにしたのです。
昭和46年に法改定の時、厚生省から「1」のような事業をしているので、「黄色」も「白色」と同じ扱いにして欲しい、と要望があったのです。
「黄色」が入って来たのは、白より目立つ事、雪国では白は背景色である雪と同化して見えなくなるので「白色」以外の色指定の要望があった事等で「黄色」を追加したのだそうです。

晴れたり曇ったり

コンビニを出ると駐車場で数台のバイクが爆音を鳴らしていた。
ブンブンブン♪エンジンを空ぶかしするいわゆるコールというやつだ。やかましいことこのうえない。
行く手にも若者が群れていて僕が右往左往しているとバイクの爆音がピタリとやんだ。
「どっちに行かれますか」、僕を見下ろすよな上の方からいかつい少年の声がした。
僕は見上げるように、「歩道に出たところの信号を渡りたいんだ」と返した。
「じゃ~こっちっす、案内するんで俺に捕まってください」、そう言って腕を僕の片腕に少年が当ててくる。
「わるいね~」僕はその腕に捕まらせてもらうことにしたが、いざ捕まってみるとその腕の太さにビックリした。
こんなぶっとい腕でぶっ飛ばされたらひとたまりもないなとか、若いのに白杖の僕に親切してくれて人は見かけによらないな、などと思いながら少年に手引きしてもらった。
信号でお礼を言って少年と別れた。そして僕が横断歩道を渡り終えてしばらくすると、さっきのコンビニの方から、またバイクの爆音が聞こえてきた(苦笑)
路地をいくつか曲がりバイクの音も聞こえなくなった頃だった、背後からクラクションを鳴らされた。
僕は車が迫っていたことにはまったく気づいていなかったので、その音に驚き、慌てて道ばたのブロック塀に張り付くように車を避けるようにした。
ハイブリットだかなんだか知らんけど音の静かな車が僕の横に来て、窓がスルスルと開いて中から運転士がこういった。
「めくらは外にでるな」・・・
そう吐き捨てた初老の男性のしわがれた声に僕は腹が立って悔しかったけど、自然に当たり前のように・・・
「すいません、ごめんなさい」と、運転士に頭を下げてた。後になって情けなくてしかたなかった。
町は今日も晴れたり曇ったり。

視覚障害者あるある PART7

さくっと視覚障害者あるある
・全盲の人、友達から画像を添付したメールが送られてきたけど、どういった写真なのか説明がなくてもやもや。
・フェイスブックやTwitterでも画像だけの投稿には困惑。
・どんな写真なのか説明してくれる便利なアプリがあるそうだが、まだ私はガラケイでアプリが使えない。
・iPhoneにスマホの操作に手こずっている友人の横で、ガラケイを神レベルの指技で操作する私、素早くメール送信してどや顔。
・便利なアプリの話題で盛り上がる友人達の話に、ああそうなんだ、ふ~ん、なるほど、うなづいているうちに村八分になってしまったガラケイの私。
・冷蔵庫に並ぶ牛乳や紅茶やジュースの紙パック、たまにどれが何だか困惑して、一口ずつ飲んでみる。
・買い置きして置いた冷凍食品の箱がいくつか、箱を触って、はて?これ何だったかな・・・考えている夕暮。
・ピンポン、ピンポン!連打される玄関チャイム、はいはい、ドア越しに応対すると、お母さん、部屋真っ暗だよぉ、そう言って息子がぽかんと立っていた。

・秋の日はつるべ落しとはよく言ったものだ、暗くなったことに気づかずに家事をしてたことにはっとして意気消沈。
・そういえば宅配便の不在通知書が届いていたな、部屋真っ暗で留守と間違われたに違いないと意気消沈。
・朝から部屋で捜し物、なくした片方の手袋を探して屈んだ瞬間、片づけ忘れた扇風機に顔面をぶつけて悶絶!
・道ばたでタクシー探し、空車のサインがわからず片っ端から手を挙げていたら自転車に乗った外人さんが、ハイ~!・・・と、ハイタッチして通り過ぎて行った。
僕らは今日も明るく生きている。
プロフィール

ちゃれんじぃ

Author:ちゃれんじぃ
毎日が色んなことへの挑戦だ!白杖への誤解や理解、日々のささいな出来事や感じていることを視覚障害者の視点からつぶやいています。アラヒフ世代・津軽三味線初心者・ジョギング・野球観賞・70年代フォーク&ロック・古きよき昭和をこよなく愛する全盲の伯父さんです。。

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