二刀流

日ハムの大谷選手、投げて打っての快刀乱麻の二刀流の活躍は本当に凄い。今回はそんな二刀流のお話です。
と言っても白杖の二刀流のお話なんですけれど・・・
白杖を突いて歩いていると様々なアクシデントに見回れます。自転車に白杖を当てて杖を折ってしまったり、混雑する駅構内などで行き交う人の足に白杖を引っかけて杖を折ってしまうケースが、けっこう多いんです。
白杖を折ってしまうと、僕たち目の不自由なもんはその場から動くことが思うようにできません。

そんな非常時の対処法として、僕はスペアの折りたたみの白杖を外出時の鞄に常備しています。
通常使用している僕の白杖は、障害物を早めに察知できるようにちょっと長めの杖なんですけど、
スペアの白杖はそれより長さの短い杖にしています。
それというのも人混みでは長い白杖は人の足に引っかけやすいこともあって、そうした場所に行くときには通常の杖とスペアの短い杖にチェンジします。
人混みを歩くときには本当に注意が必要です。人の足に引っかけないように白杖の振りを小さくしたり、杖を鉛筆のように持って立てるように突く工夫をしなければなりません。

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もれちゃうよ

某所の多目的トイレ、使用中でなかなか空かない。もう5分近く足踏みをして待っている。トイレの中から数名の若い女性が笑う声と楽しそうな会話が聞こえてる。
着替えでもしているのかな?お化粧が長引いているのだろう、「若い個は無邪気でいいな」、そんなことを考えて足踏みの速度を上げる。通常のトイレに行けよ、それもそうだが、そこの施設は構造上わかりにくいところにあるので、僕はいつもこの多目的トイレを使ってる。
脂汗が出てきた、国立競技場のホームストレートを駆け抜ける勢いで足踏みをしてみる。ダメだそんなに激しく動いたら返って尿意が倍増する。
「ワンアウト、ツーアウト、管直人!」、なんてギャグをかましながら少年の集団が通る。バカ、笑わせるなもれちゃうだろ、股間を押さえる僕。
ガラガラ!天国の扉が開く音だ。やっとドアが開いて中から女の子が三、四人くらいでてきた。
一人の個がいう、「中の配置、わかりますか?ご案内しますよ」。
「大丈夫です」と僕。
女の子、「これから私たちライブを観に行くので云々」
あぁもう余計なこと言わんでもいいから早く行ってみたいな感じでドアを締めたと同時に、履いているジャージを下げながら便器に突!

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下着泥棒

僕は目が不自由だけど、マラソンを走ることを趣味にしている。「目の見えんもんがどうやって走るのよ?」、必ず聞かれることだけど、短いロープの端と端を結び輪にしたロープを伴走者と呼ばれる健常者のランナーと視覚障害者ランナーが互いに握り合い、横並びで腕を振り歩幅を合わせて走るんです。

まぁ、細かいことはいつか書くとして、いつぞの大会遠征から帰宅して、その試合で着たウエアをその日のうちに選択して、晩に物干しに干しておいた。
翌朝、干しておいたウエアを取り込んでみたらランニングパンツの下に履くインナーだけがないんです。念のために遠征に使ったリックとか洗濯機の周りを確認してみたけど見あたらないんです。
実はこうしたことは、この時が初めてじゃないんです。前にもインナーパンツだけが物干しから消えてなくなることが何度かありました。手元を見たわけじゃないけど、これって下着泥棒の仕業に違いないと思ってる。
ランニングパンツの下に履くインナーは見た目、女性下着と似ている。レースこそついてないけどパンティやTバックみたいといえば、そうともとれる。
インナーといってもけっこう高くて、失費は痛い。

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視覚障害者あるある PART5

・銀行とかコンビニのATMのタッチパネルはちょっと苦手、というか無理。指で触ってもツルツルのただのパネルにしかすぎないのでお手上げ。
・視力検査、「これどっちが切れてますか?」、Cのパネルを持った検査の人が だんだん近づいてきて、最後には目の前で指を動かされる。
・ファーストフードの上にあるメニューは見えない。駅の時刻表も見えません
・駅の自動改札は、Suica専用と切符を通せる機械どちらなのかわかりにくいので直前であたふた。
・ラッシュ時の駅構内、白杖を人の足に引っかけないように、白杖を鉛筆のように持って歩く(杖を立てるようにして突く)。
・点字ブロックの上に置かれた荷物につまずき、立っている人にぶつかり歩く駅ホーム、お願いだから点字ブロックをふさがないで。
・・全盲の人同士、者を手渡し受け取ろうと差し出したお互いの手が、何度か互い違いになるときあるけど、ちゃんと受け渡しできるから不思議。
・喫煙する人同士、一つの灰皿を一緒に使っていて煙草の先をお互いの手にぶつけ合って、あっちっち。
・宴会とかでお酒のお酌をして回るのは苦手、つがれるのもちょっと苦手かな、ジョッキグラスを抱えてどや顔。
・お酒も回り饒舌になって、隣の席のお姉さんに熱弁をふるう、ちゃれんじぃさん、返事がないので可笑しいなと思ったらお姉さんが席を外していなくて、座布団に人生を語っていたことに気づいて意気消沈。
・手持ちぶさくて、料理に箸をつけていたらお刺身のワサビの固まりを口にして悶絶!
・宴会がお開きになって部屋の出口で誰かとぶつかって謝ったら友人で、「あれ貴方も来ていたんだ」みたいな会話になって爆笑。
・店内で親切にしてくれた店員さんの声とか雰囲気が素敵でドキドキ!これって・・・一目惚れ?
こんなことがあっても僕らは今日も明るく生きている。

枝切りバサミ

弱視の息子は、白杖を持ち歩くことにまだ抵抗があるようだ。そんな息子が帰宅するなり「白杖の突き方(使い方)を教えてくれ」と言ってきた。どんな心境の変化があったのか聞いてみると帰宅途中の道で、民家の庭から道に突き出した庭木の枝に頭をぶつけたんだと。
白杖は足下の障害物を避けたり路面の凹凸は察知することはできるけど、顔の高さに迫る障害物は回避できないし、使い方を教えてくれと言われてもこれには、白杖生活の長い女房も僕も頭を抱えてしまった。
こうしたことは、慣れるしかないのだ、毎日通る道だったら、この角を曲がって少し歩いた右側の民家のブロック塀の上から庭木の枝が突き出ている、そう頭の地図にインプットしておくしかないのだ。
全盲の女房が言う、「慣れよ、慣れ、そのうち顔の皮膚が敏感になってきて、よほど急いでいない限り庭木の枝くらい避けられるわよ」・・・
母は強しというか、さすが白杖生活の大先輩が言うことには説得力がある。
続けざまに、「野球のキャッチャーマスクでもかぶったらどうだ」、と言う僕のアドバイスにその場はしらけてしまったが、沈黙してた息子が口を開いた、「父ちゃん、うちに枝切りバサミあったよな」・・・
そっそれだけはやめれ

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足ツボマッサージ

ディーゼルの列車が一時間に一本しか来ない田舎の駅ホーム、その日の僕は伴走者と起伏に富んだ峠をのんびり走るランニング練習会に参加した帰りだった。仲間達とさよならした僕は、一人でホームのベンチに座ってぼ~っとしていた。人の往来もなければ、構内アナウンスもない、周囲からは野鳥の鳴き声くらいしか聞こえてこない、そんなのどかなところだ。
僕は鉛のように重くなった足のけだるさを何とかしようと履いていたシューズと靴下を脱いで、素足になって足裏を地べたにつけて、コンクリートのひんやりとした感触を感じながら、ふくらはぎをモミモミしてみたりした。
僕は思った、点字ブロックのあのイボイボを踏んでみたら、足裏のツボが刺激されてもっと気持ちいいんじゃないかなと。白杖の先を前方に伸ばしてみたらホームの端に点字ブロックがあった。
僕は、音声腕時計で時間を確認した。列車の到着時間までまだ40分はある。僕は、素足のままで点字ブロックのところまで歩いていき、点字ブロックの上で足踏みをしてみた。
何という心地よさ。1、2、1、2と足踏みを続けていると誰かが僕の方に向かって駆け寄ってくるではないか。

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婚姻届

目の不自由なもんにとって役所や銀行などで提示される書類の記入は難儀である。第三者に代筆してもらうにも代筆者の身分を証明するものをそこの職員に提示した上で、職員立ち会いのもと、記入の作業をするのだ。そんな面倒なことも悪質な詐欺が横行している昨今しかたないことだとはわかってはいるが、目の見えんもんに向かって「ここに記入してください」、そうした応対は、何度直面しても切ないものだ。
代筆と言えば女房と一緒になるときに婚姻届を町役場に提出に行った時のことだ。少し視力のあった僕はルーペを使って自分の名前を記入したが、役所の人間は全盲の女房にも自筆で記入しろと言う。僕が代筆を求めると何が何でも女房の自筆でなければ駄目だと、担当者は突っぱねる。
そこでどうしたかというと、ペンを持った女房のその手に、僕が自分の手を添えて、そのペンを動かした。文字は記入欄からはみ出してしまったが無事に女房の名前を記入することができた。
沢山の人に観られていたが、僕は女房にぴったりと張り付いて、それこそ頬と頬がつくくらいに寄り添って、僕たち夫婦は婚姻届提出の手続きをすませた。

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セピア色の白杖

この前ある人に、「白杖で点字ブロックを叩いて自分の存在を周囲に示すために杖の音を鳴らしているんですか」、そう聞かれたんだけど、そんな思考もあるんだなとちょっと苦笑しています。当事者としては普通に歩いていたって、コツコツと杖の音はするわけだしわざわざ意識して、「ほら、目の不自由なもんが通るよ」みたいな意味合いでは杖の音を鳴らしませんよと、僕は答えておきました。
小心者の僕は、それどころか「どけどけ」、そんな風に誤解されないように杖の音を必要以上に立てないような気遣いをしているくらいですから。毎日使う白杖、身を守ってくれる大切な城杖をわざわざ地面を強く叩いて音を立てたり、駐車中の車や自転車、はたまた通行人をその杖で叩くようなことは、僕は絶対にしたくないです。
話は変わりますが白杖の音といえば、学生時代のことなんだけど、改札口で杖先をコツコツさせて彼女を待ったことを懐かしく思います。杖先をコツコツさせるのは別にイライラしたわけじゃなくて、目の見えない相手に「僕のいる場所はここだよ」と、知らせる合図みたいなもんです。
遠くのほうからコツコツという彼女の白杖の音がだんだん近づいてきて、「ごめん、またせちゃった」って、息を切らせていたJKが、今の僕の女房です。
野口五郎の「私鉄沿線」がザ ベストテンを騒がせていたころの古い話である。

ビニ本と松坂先生

話は思春期真っ盛りな盲学校時代のことだ。週刊誌の表紙を百恵、淳子、昌子の中三トリオが飾っていたそんな時代の話である。何度も書いているがその頃の僕の目には、読み書き、日常生活には、さほど不自由しないくらいの視力があった。と言っても本などを見るのには顔を近づけるようなど近眼的な視力だが、半盲とはそんなものだ。
視覚障害者、盲学校の生徒といえどもアイドルやスポーツ、異性に興味深々な、普通の男子と何ら変わらない高校生だ。僕は、白いエンジェルハットをちょこんとかぶって、「くっくくっく、青い鳥♪」と歌ってた、桜田淳子のファンで、月刊明星とか平凡の付録に付いていたポスターを部屋の壁に貼ったりしていた。
僕はそんな本の発売日を毎月楽しみにしていて、その日も本屋に買いに行った。いつものコーナーに付録のポスターと歌本と一緒にビニール紐でくくられた、明星と平凡が並べてあって、どちらを買うか、毎回迷ったものだ。
その時もどちらを買うか迷いながらも他の本にも目をキョロキョロさせていると、ビニール袋に入った怪しい姉ちゃんが表紙になった本が目にとまった!僕はその中身が見たくなった。そして誰かに見られていないか周りを見渡して素早く汗ばむ手で、その本をひっつかんでレジに持って行った。
レジのオッサンと目を合わせないようにポケットからかき集めた金だけ渡して袋に入れてもらった本だけを受け取り、マジソンバックに素早く買った本をしまって店を出た。
僕の心臓は高鳴っていた、流行る気持ちと期待に胸を躍らせて下校の道を足早に歩いていると、背後から「○○くん」と女の人に呼び止められた。その声の主は、英語教師の松坂先生(仮名)だった。
やばい、こりゃ松坂先生に見られていたかなとビクビクしながら、「こんちはっす」、そう僕は冷静を装った。松坂先生は結婚はなさっていたが僕たちの姉御的な人でとても面倒見がよく、優しい先生だった。松坂先生とたわいもない話をしながら駅まで歩いた。
別れ際に松坂先生が言った、「出しなさい」。えっえっえ、僕が戸惑っていると、「白杖を通学時にはきちんと持つことが校則で決まっているでしょ」と、松坂先生。
僕は、心臓が止まりそうだったが、汗ばんだ手で、マジソンバックの一番底にしまい込んであった、折りたたみの白杖を引っ張り出した。松坂先生とは、その日はそんな感じで手を振って分かれた。
そして、その晩の僕は本をネタに猿のように青春したことは言うまでもないが、翌日、学校で僕は、再び松坂先生に呼び止められた。人気のない教室で松坂先生と二人、松坂先生が切り出した、「昨日、本屋さんで買った本はどうしたの?」。
やっぱり見られていた!僕はしどろもどろになりながら家に置いてきたことを話した。松坂先生には、思春期だからそうしたものに興味を持つことは仕方ないことだけど、これからは買ってはいけないとけっこうきつく言われた。そして、「○○くんが誰にも見られていないと思っても誰かに見られているものよ」と続けた。
松坂先生は、僕がビニ本を買ったとき、すぐ僕の近くにいたそうだ。「あれだけ辺りを見渡したのになぁ」と開き直る僕に、「誰にも言わないでおくから自分の行動には気をつけなさい。社会に出てもそれは大切なことだから」、松坂先生はそう言って教室を出ていった。
そうしたことがあってからは僕の中には、「誰も見ていないだろう」という思考はない。目が見えない見えるに関係なく必ず誰かに見られている、そうしたことに心がけ行動するようにしている。障害者の前にマナー人間でありたいものだ。
プロフィール

ちゃれんじぃ

Author:ちゃれんじぃ
毎日が色んなことへの挑戦だ!白杖への誤解や理解、日々のささいな出来事や感じていることを視覚障害者の視点からつぶやいています。アラヒフ世代・津軽三味線初心者・ジョギング・野球観賞・70年代フォーク&ロック・古きよき昭和をこよなく愛する全盲の伯父さんです。。

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