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幾つもの時を超えて

ずうっと走り続けていると思わぬ再会がある。
僕がランニングを始めた頃からの古いラン友と数十年ぶりに再会した。
そんな彼は弱視で共に今のランモードを立ち上げた同士である。
ひょんなことから疎遠になってしまっていたのだけれど、再びその彼がランモードに戻ってきてくれた。
そんな経緯ははしょるけど、彼が戻ってきてくれたことをランモードの中で一番喜んでいるのは僕である。
そんな彼との思い出を書いてみることにする。
時は、アトランタ五輪で女子マラソンの有森裕子さんが金メダルを獲得した頃に彼との出会いがあった。
当時の二人は弱視でバリバリ走れていた。年も近く同じ地域なんでよく大会で顔を合わせた。
当時は視覚障害者の出走などほとんどの大会で認められていなかったし、目の悪いもんがマラソンを走ることも一般的にも変わり者といわれたものだ。
大会には、視覚障害者としてではなく健常者として参加した。勿論、伴走者などいない。
先にも書いたけれど視覚障害者ですがなどと、大会事務局にお伺いをしようものなら断られたものだ。
変わり者で共に一匹狼の二人はよきライバルでもあった。
そんな二人が遠征先の大会でたまに見かける視覚障害のランナーと伴走者を見て群馬にも伴走サークルを立ち上げようということで意気投合した。
ランモード創立時は伴走者などいないから二人して全盲を代わる代わる伴走したものだ。
思い返してみると僕らの伴走で大会にも出たし、車止めが沢山ある遊歩道も走った。
よく事故がなかったものだと胸をなで下ろす。
当時は、伴走者を増やす取り組み以前に視覚障害者が走れる大会を探すことであった。
受け入れてくれない大会には、理解を得るために事務局へ直談判に足を運んだものだ。
沿道に立っている大会役員やボランティアに、誰の許可で走っているんだとか、ゼッケンのない伴走者に出走をやめなさいと促されたエピソードは本当に辛かった。
伴走者として、広告塔として、ライバルとして、走った二人の当時を今は誰も知らない。
大勢の参加者が集ったある日曜日のランモードの練習会。
様々な会話や笑い声が飛び交う群衆のちょいと端っこに、ぽつんと立つ二人。
彼がいい時代になったなと云った。
僕は、おうと返事を返した。
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坂道とジジイと遠い記憶


仕事柄平日休みがあるんだけど部屋の掃除をするくらいで暇を持てあましていることが多い。
目でも見えていたら走りに行けるのになーと考え込むことが多い。
その日は、伴走をしてくれる人が前から決まっていたのでわくわくして目を覚ました。
遠足にでも出かける子供のように荷物をまとめて待っていると伴走者の彼が車で迎えに来てくれた。
向かった先は郊外の山腹に作られた公園である。
県道から公園に繋がるけっこうな坂道を走ることが目的だ。
平日の朝の公園の駐車場はひっそりと閑散としている。
雲の切れ間からの太陽、野鳥の鳴き声、緑の香りを独り占めで有る。いや、二人じめだ(笑)
若い彼にロープを任せて走り出す。最初は下り坂、ゆっくり走る。
実はこの公演は僕にとってもランモードにとっても思い出深い場所なのだ。
今こそ毎月の定例会の開催地が固定されているが、そこへ辿り着くには並ならぬ苦労があったのである。
みんながより安全に走れるところ。みんなが集合しやすい場所を求めて何度か練習会や伴走教室もここでやった。
そしてこの片道2kmの坂道もよく走ったものだ。
歩道の端に茂った草や朽ちた休憩所に時間の流れを感じた。
当時の苦労や思い出を語りながら一本目終了。
そんな思い出を彼が伝えてくれる景色や情景に重ねながら二本目終了。まだまだ元気。
ロープを引く彼と参加予定のキャベツマラソン秘策を語らいながら三本目終了。若い彼は余裕の笑顔である。
四本目になると僕の方は体力の衰えを感じた。若い彼との体力の差がちょっと切ない。
写真撮影を理由に何度か足を止めたが四本目終了。
密かに五本目を企んでいたがその元気もなくしてギブアップのジジイであった。
若い彼のおかげでリアルタイムmachineにでも乗ったかのように遠い記憶にタイムスリップしたような懐かしさを残して公演を後にした。
大山のぶよのドラえもんが「タケコプター!」と叫んでいた頃の古い記憶で有る。

残念な撮り鉄

地方にしては割りと大きなターミナル駅。乗り換えの階段を下ってホームに降りてみると、平日の昼にしてはいつもより人が多い感じがした。
遅延でもしているのだろう。白杖で点字ブロックを頼りに目的の乗車位置へ僕は向かった。
ちょっと進むと白杖の先がコツンと何か固い者に当たった。察しの通り点字ブロックの上に荷物が置かれていたのであった。
僕は、チッと舌打ちをした。1つ深呼吸をしてから僕は、置かれていた荷物を慎重にかわして、その先の点字ブロックを辿った。
そんな僕の動作にコソコソ云われているような違和感があったが、そんな白い視線は慣れたものである。
おおよその乗車位置はこの辺りだなと目星をつけて僕は、足を止める。
するとちょっと離れたところから若い男の声が「そこどけよ」と挑発的に云った。
僕は、瞬時に僕に向かって云っているのだと確信したが無視することにした。
するとその声の主は、じゃまなんだよだの、どっかいけよだの続ける。
そうなるとこちらもやんちゃな血が騒いでしまう。
僕は、その声の方に向かい直って、「私に云っているのか」と静かな口調で返してみた。
若い男は、そうだよ、早くどけよと続ける。
僕は、「何故に叔父さんがここにいると悪いのかきちんと説明しなさい」と静香に返してやった。
するとそいつは、向かいのホームの列車を撮影するのにオッサンがじゃまなんだよだと続ける。
僕もいい加減理不尽な男に愛想が尽きたので、「私はこの場所で列車を待っているだけだ。君が他に行きなさい」とちょっと強い口調で返してやった。
男は、うるせんだよ!相変わらずの馬鹿っぷりである。
近くにはけっこうな人が居る気配だがこの騒ぎには係わりたくないようだ。
若い男が相変わらず激昂している。
僕はそんな男に、「叔父さんは見ての通り目が見えないんだ。君がここに来てちゃんと手引きして、またこの場所に叔父さんを戻してくれよ」と普通に返した。
そんなん関係ないと男は続ける。馬鹿につける薬はない(笑)
そうこうしているうちに僕が乗る列車がホームに滑り込んできた。
開いたドアから大勢の乗客が降車して、それと入れ替わり僕は、列車に乗り込んだ。
ドアが閉まるとさっきの男の怒号やホームの賑わいが遠い過去だったように静香になった。
さっきのあれはなんなんだったのだろう?僕は、間違ったことをしたのかなとか考えてしばらくドアの前に僕は、突っ立っていた。
列車は人々の色んな哀れみや心の動揺を乗せて今日も走っている。

白杖使いのバラッド

ひょんなことから息子と同じ列車に乗ることになって、早朝、二人して家を出た。

白杖使いとしても先輩の僕が前を歩き、その後を白杖をコツコツさせて息子が続く。
息子も網膜色素変性症が進行してしまい強度の弱視である。
早朝の住宅街は静かで時折野鳥の鳴き声が聞こえる。
そんな朝の情景に2つの白杖のコツコツの音がハミングして辺りに響いてる。
親子は前と後ろで初孫の成長のことやら父の健康を息子が気遣うそんな会話をしながら歩いた。
僕は、背後の息子との間合いを気にしつつ歩くが、ついつい早足になってしまう。
息子はそんな父の思いを知ってか知らぬか同じように早足になってぴったり着いてくる。
十分に時間に余裕をみて家を出たのだからそんなに急ぐ必要はないのに(笑)
駅ロータリーまで約100m、真っ直ぐに延びた歩道に出ると息子が僕との間合いを詰めてきた。
息子の白杖の先が僕の靴の踵をたまに突くから父は、さらに早足になる(笑)
さっきまでワルツのリズムを刻んでいた2つの白杖の音がジルバになった(笑)
もう何万回と歩いて障害物のないことや歩道の道幅、道路標識のポールの位置や路面の細かな変化まで知り尽くした親子である(笑)
この時間には、まず人通りのないことを踏まえて、父が加速する。
そしたら息子が真横に来たと思う間もなく僕を追いこして行った。
今度は前を歩く息子の後を父が歩く。
息子はぐんぐんと進んでいくので父もそれを追尾するがどんどん離れてしまう(笑)
父は、そんなに急いだら危ないぞぉ!思わずそう叫んで白旗を挙げたのであった。
するとちょっと向こうの方から白杖の先で道路標識のポールをカンカンと叩く息子の、ここここ合図がした。
僕が追い付くと息子は笑っていたけど、そこからは余った時間を有効利用するかのように親子二人して、ゆっくり駅まで歩いたのであった。
息子の背中も大きくなったものだ。そして父はジジイになった。
嬉しくもちょっと切ない朝の出来事から。

ランナーの耳は驢馬の耳

たまにはランナーらしく走る話をしてみたい。
僕ら視覚に障害があるランナーは、ロープを互いに握り合っている伴走者の指示や誘導で走ります。
伴走者は、「右へ曲がります」、「上り段差があるよ」など走路の情況を伝えてくれる。
僕らはそれを聞いて加速したり、減速したり、右折、左折の準備をするのです。
僕らの耳には伴走者が伝える声の他にも色んな音が跳び込んでくる。
近くを走るランナーの息づかいだったり、靴音だったり、会話だったりする。
繁華街を抜けるコースでは沿道からの沢山の声援。
森林を抜けるコースでは野鳥の鳴き声とか、小川のせせらぎなんかが聞こえる。
そんな音の数々は健常者のランナーの耳にも届いているはずだ。
そんな声援や自然の音を楽しみ走るのもマラソンの醍醐味ではないだろうか。
ところが最近、耳にイヤホンをして走るの禁止というアナウンスをスタート前の大会会場で耳にしました。
どういうこっちゃと思ったら、以前からイヤホンで音楽を聴きながら走るランナーがけっこういるんだそうな。
僕はこのことを聞いて何ともったいないことかと思ったものだ。
沿道の音を楽しむその気がないのならわざわざ高いお金を支払ってまで大会に出なくてもいいものを!そう感じたよ。
でもイヤホンの是非可否がは、沿道の音を云々ではなくて、危険性にあったのだ。
イヤホンをしている人は、周囲の音が良く聞こえていないため自らの動きが散漫になる。
接近している周囲のランナーに気づかず自分勝手にあっちにフラフラ、こっちにフラフラ、、危なくて見ていられないそうだ。
周回コースでは、先頭ランナーを先導車が「先頭ランナーが通ります。左に寄ってください」などと警鐘を鳴らす。
そのことに気がつかないイヤホンをしたランナーが平然と走り続け、そうしたランナーに向け大声で何度も関係者から怒号が浴びせられている場面を何度か目撃した。
またこんなこともあった。
僕をガイドする伴走者が前を走るランナーにコースを開けて貰うために、「右へ寄ってもらえますか」と声を掛けたところ無視常態(笑)
しびれを切らせた伴走者がそのランナーの肩をポンポンしてイヤホンを指摘すると逆切れしてけつかる(笑)
こりゃ駄目だ、次ぎ行ってみようである。
いやー 本当に困ったものだ。→イヤーホンだけに(親父ギャグ)
イヤホンをやめろとまではいわないが片耳だけでも外してもらいたいものである。
そして沿道からの「頑張れ」の声援を力に変えてほしいものである。
プロフィール

ちゃれんじぃ

Author:ちゃれんじぃ
毎日が色んなことへの挑戦だ!白杖への誤解や理解、日々のささいな出来事や感じていることを視覚障害者の視点からつぶやいています。アラヒフ世代・津軽三味線初心者・ジョギング・野球観賞・70年代フォーク&ロック・古きよき昭和をこよなく愛する全盲の伯父さんです。。

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